当院開院前、院長深澤は国内で顎関節を研究、診療する機関のうち著名な医院の一つである中沢顎関節研究所にて勤務しておりました。現在、日本顎関節学会診療ガイドラインの作成や、学会発表、顎関節症に詳しくない一般歯科医師向けに共著にて書籍を執筆しております。患者様の中で下記の症状等で気になることがございましたら、気軽にお申し付けください。
顎関節症は複数の原因が重なっておこる病気のため、以前はその実態が把握できず、様々な治療法が試みられてきた。特に歯科の分野では、咬み合わせと深い因果関係があると思われがちだったが実はほんの一部に過ぎませんでした。現在この病気の治療において国際的な共通認識は、患者さん個人の生物的、心理的、社会的背景を考慮しマネジメントしていくことが重要であり、適切な管理下で症状の自然消退を期待できるということを知っておく必要があります。
「顎関節症セルフケアハンドブック」(医歯薬出版)より
①顎関節症とは?
*あごの関節や、食べるときに使う筋肉の痛み
*あごの関節が鳴る(バキッ、ゴリゴリ)
*口が開きにくい
(参考資料日本顎関節学会の病態分類)
②発症の頻度は?(痛みの場合)
*これらの症状が日常生活に大きく差し障ると感じた場合に治療の対象とまりますが個人個人で感じ方が違います。
*障害の生じた部分を安静に保つことで自然な改善が期待できる疾患です。 (ここが大切です。)
③どんな病気か?
*以下の複数の原因が積み重なって、個人の耐える力を超えると発症するとされています。(イラスト図7)
④ご自分で顎関節症だと思っていても実は違う病気だということもあります。
顎関節症と症状が似ているが、他に原因がある病気
*頭の中の病気(出血、血腫、浮腫、感染、腫瘍など)
*顎関節と隣接する臓器の病気(歯、耳、鼻、のど、あごの骨事態など)
*筋骨格系の病気(筋ジストロフィーなど)
*心血管系の病気(側頭動脈炎、虚血性心疾患など)
*神経系の病気
*頭痛(緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛など)
*精神神経学的病気
*その他
これらと間違えることの無いように専門機関で診断を受ける。
⑤どんな治療法がある?
*治療の第一選択は、可逆的な保存療法(歯を削ったり、外科手術でない)を選択する。
*詳しい病状解説を受ける。(これだけで患者さんは安心し症状に対し悲観的でなくなる)
*日常生活で気を付けることを知る。(イラスト)
*あごのストレッチや、マッサージなどの指導を受ける。(指導の一部)
患者さんの行う運動療法の一例
(歯科医師の診断のもとに自宅で行う)
*夜寝るときにマウスピースを装着する。
*強い痛みの時は鎮痛剤を処方してもらう。
*簡単なストレスマネジメントあるいは、専門家による心理的アプローチ
個々の患者さんに合わせ、以上の治療法を併用する事で、より治療効果が高まります。
この病気が抱える問題点
以上のように、顎関節症自体は、決して恐れる病気でありません。しかし、人間が生きていくうえで会話や食事は毎日必要な行動で、その都度痛みを感じるということは大変なストレスであり、心理的負担は大きくまた、痛みが長引くことによって、中枢神経に痛みの記憶が生じ、非常に治りにくくなるばかりか、場合によっては、咬み合わせの異常にとても敏感に反応してしまう方もいるので、つらいと感じる痛みが長引きそうな場合は、顎関節症を治療できる歯科医を受診することをおすすめします。
当院における診療の流れ
当日
病歴の採取 | 主訴 現病歴 医科的な既往的 歯科的既往歴 日常生活 |
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検査 | 視診(顔、口腔内) 触診(顎関節、咀嚼筋) 咬合検査 レントゲン(CT、パントモ) |
印象 | 上顎、下顎 |
口腔内写真 | |
説明 | 当院は患者さんの話(病歴)、問診表、触診、視診、レントゲン所見から診断をたてます。 特に患者さんの話を聞くことに大部分の時間をさき、病気の発症から現在に至るまでの経過、歯科的な治療についてお話をうかがいます。 そのうえで、現在の状態、今後の治療の見通しについてお話します。 |